「犬が熱中症の時に何飲ませる?」
「犬はポカリを飲めますか?」
暑い日にぐったりしている様子を見ると、すぐに何か飲ませたほうがよいのではないかと不安になりますよね。人と同じようにスポーツドリンクを与えても問題ないのか、それとも水だけにすべきなのか、判断に迷う場面は少なくありません。
犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げることができません。そのため体内の水分が不足すると体温がさらに上昇し、元気がなくなる、呼吸が荒くなる、嘔吐するなどの症状が現れることがあります。適切な飲み物を選び、早めに水分補給を行うことが、犬の熱中症対策では重要です。
この記事では、犬の熱中症対策に役立つ飲み物の種類と安全な与え方、避けるべき飲み物について解説します。いざというときに慌てないための基礎知識として、ぜひ、参考にしてください。
※2026年2月24日時点の情報です。
犬はなぜ熱中症になりやすい?水分補給が重要な理由
犬の熱中症対策を考えるうえで、まず理解しておきたいのが犬特有の体温調節の仕組みです。なぜ犬は暑さに弱いのか、その背景を知ることが、適切な飲み物選びと正しい水分補給につながります。
汗をかけない体のしくみが、体温上昇を招きやすい
犬は人のように全身で汗をかいて体温を下げることができません。汗腺は肉球など一部にしかなく、主な体温調節は「パンティング」と呼ばれる口呼吸によって行われます。舌を出して浅く速い呼吸を繰り返すことで体内の熱を放出しますが、気温や湿度が高い環境では十分に熱を逃がせないことがあります。
体内に熱がこもった状態が続くと、体温が上昇し、呼吸が荒くなる、よだれが増える、元気がなくなるといった変化が見られます。さらに水分が不足していると血液の循環が滞りやすくなり、体温の上昇を抑えにくくなります。犬の熱中症対策では、こうした体の仕組みを踏まえたうえで、早めに水分を補うことが基本となります。
体格や年齢によって、脱水の進み方が異なる
犬の体は体格や年齢によって水分の保持能力が異なります。体が小さい犬は体内の水分量も少ないため、短時間でも水分バランスが崩れやすい傾向があります。子犬やシニア犬は体温調節機能が安定していないことがあり、暑さの影響を受けやすい点にも注意が必要です。
また、パグなどの短頭種は鼻腔が短いため呼吸による放熱が十分に行われにくく、ポメラニアンなどの被毛が厚い犬種は体に熱がこもりやすい特徴があります。こうした体の特性が重なると、気温がそれほど高くなくても熱中症のリスクが高まります。犬の熱中症対策を行う際は、犬種や年齢に合わせた水分補給の意識が重要です。
水分補給は「量」だけでなく「タイミング」も重要
熱中症対策というと「たくさん水を飲ませる」ことを思い浮かべがちですが、実際には飲水のタイミングや飲みやすさも大切です。暑い環境では食欲や飲水量が落ちることがあり、水が置いてあっても十分に飲めていない場合があります。
散歩の前後や運動後、室温が高い時間帯など、体温が上がりやすい場面でこまめに水分を補うことが効果的です。犬の熱中症対策では、単に水を用意するだけでなく、体調や行動に合わせて補給を促す工夫が求められます。犬の体の特徴と脱水のリスクを理解することが、安全な飲み物選びの第一歩です。
犬の熱中症対策に適した飲み物とは?
犬の熱中症対策で最も気になるのが、「実際に何を飲ませればよいのか」という点です。誤った飲み物を与えると体に負担がかかる可能性があるため、基本を正しく理解しておくことが大切です。
基本は新鮮な水がもっとも安全
犬の熱中症対策において、もっとも基本となる飲み物は常温の新鮮な水です。健康な犬であれば、通常は水だけで十分に水分補給が可能です。特に日常的な予防の段階では、無理に特別な飲料を与える必要はありません。
水は糖分や塩分を含まず、体に余計な負担をかけないという利点があります。暑い時期は飲み水をこまめに取り替え、いつでも飲める状態にしておくことが重要です。また、散歩の前後や帰宅直後など、体温が上がりやすいタイミングで水分補給を促すことが、犬の熱中症対策につながります。
犬用の電解質飲料はどんなときに使う?
食欲や飲水量が落ちている場合や、すでに軽い脱水が疑われる場合には、犬用に調整された電解質飲料が補助的に役立つことがあります。犬用製品は塩分や糖分が犬の体に合わせて設計されているため、人用よりも安全性が高いとされています。
ただし、常用するものではありません。あくまで一時的な補助として使用し、基本は水での水分補給を中心に考えることが大切です。
人用スポーツドリンクやポカリは与えてよい?
人用スポーツドリンクは糖分や塩分が多く含まれているため、そのまま与えることは適していません。少量であっても、体の小さい犬にとっては成分量が過剰になることがあります。
どうしても使用する場合は、常温の水で2〜3倍に薄めてから与える方法がとられることもありますが、自己判断での常用は避けるべきです。犬の熱中症対策としては、まず水を優先し、必要がある場合は動物病院に相談することが望ましい対応です。
経口補水液は自己判断で使わない
人用の経口補水液は、電解質濃度が人向けに設計されています。犬に与える場合、成分バランスが適切でない可能性があります。特に心臓や腎臓に持病がある犬では、塩分の影響を受けやすいため注意が必要です。
ぐったりしている、意識がはっきりしないなどの症状がある場合は、飲み物で様子を見るのではなく、速やかに動物病院を受診することが重要です。熱中症対策では、「何を飲ませるか」と同時に「どう与えるか」も大切になります。
効果的な水分補給の方法と与え方の工夫
犬の熱中症対策では、飲み物の種類だけでなく「どのように水分を補給するか」が重要です。一度に大量に与えるよりも、体温が上がりやすいタイミングでこまめに補給するほうが、体への負担を抑えやすくなります。日常的な管理が、熱中症の予防につながります。
1日の飲水量の目安を把握することが第一歩
犬の1日の飲水量の目安は、体重1kgあたり約50〜60mlとされています。たとえば体重5kgの犬であれば、1日に250〜300ml程度が基準になります。ただし、この数値はあくまで目安であり、気温や湿度、運動量、食事内容によって変動します。
特に夏場は呼吸による水分蒸発量が増えるため、通常より1.2〜1.5倍程度の水が必要になることがあります。飲水量が急に減る、まったく水を飲まない時間が長いなどの変化は、犬の熱中症対策の観点からも注意が必要です。日頃からおおよその飲水量を把握しておくと、体調の異変に気づきやすくなります。
水を飲まないときは環境を見直す
暑さによって食欲や飲水意欲が低下することがあります。その場合は無理に飲ませるのではなく、飲みやすい環境を整えることが重要です。
- 水はこまめに交換する
- 直射日光の当たらない場所に設置する
- 複数の場所に水を置く
- ウェットフードを取り入れる
- ゼリー飲料を取り入れる
こうした工夫によって自然に飲水量が増えることがあります。氷を大量に与えると胃腸に刺激となる場合があるため、冷やしすぎには注意が必要です。犬の熱中症対策では「飲ませる」よりも「飲みやすくする」という視点が重要になります。
散歩や外出時は事前と事後の補給を意識する
夏場の散歩では、出発前に少量の水を飲ませ、帰宅後にも落ち着いてから水分補給を行います。携帯用ボトルを持参し、短時間でもこまめに水を与えることが効果的です。
特にアスファルトの照り返しが強い日中は、地面付近の温度が高くなります。犬は人より地面に近い位置で呼吸するため、体温が上がりやすい環境です。気温が高い時間帯を避けることも、水分補給と並行した重要な熱中症対策になります。
子犬・シニア犬はより慎重に管理する
子犬は体内の水分量が安定しておらず、シニア犬はのどの渇きを感じにくくなることがあります。そのため、周囲が意識して水分補給を促すことが大切です。
飲水後に嘔吐が見られる、ぐったりしている、呼吸が荒いなどの変化がある場合は、飲み物だけで様子を見続けず、速やかに動物病院へ相談します。水分補給はあくまで予防と初期対応であり、症状が進行している場合は医療的対応が必要です。
犬に与えてはいけない飲み物
犬の熱中症対策では、適切な飲み物を選ぶことが重要ですが、同時に「避けるべき飲み物」を理解しておく必要があります。人にとって安全な飲料であっても、犬の体には負担となる場合があります。誤った水分補給は、かえって体調を悪化させる原因になります。
人用スポーツドリンクは成分量に注意が必要
人用スポーツドリンクは、発汗によって失われた塩分や糖分を補う目的で作られています。しかし犬は人ほど汗をかかないため、同じ成分量は必要ありません。
特に小型犬の場合、体重に対する糖分や塩分の比率が高くなりやすく、少量でも過剰摂取になることがあります。継続的に与えると、体重増加や内臓への負担につながる可能性があります。犬の熱中症対策として使う場合でも、常用は避け、基本は水での水分補給を中心に考えることが重要です。
牛乳や甘い飲み物は脱水を悪化させることがある
牛乳は水分を多く含みますが、犬は乳糖を十分に分解できない場合があります。その結果、下痢や軟便を引き起こすことがあります。暑い時期に下痢をすると体内の水分がさらに失われ、脱水が進行するおそれがあります。
ジュースや甘味飲料は糖分が多く含まれています。血糖値の急激な変動や肥満の原因となることがあり、水分補給としては適していません。犬の熱中症対策では、体に余分な負担をかけない飲み物を選ぶことが基本です。
カフェインやアルコールは中毒の危険がある
お茶やコーヒーにはカフェインが含まれています。犬はカフェインを分解する能力が低く、少量でも興奮、震え、嘔吐、心拍数の上昇などの症状が現れることがあります。
また、アルコールはごく少量でも中毒を起こす危険があります。誤飲した場合は様子を見ず、速やかに動物病院へ連絡することが必要です。犬の熱中症対策以前に、安全な生活環境を整えることが重要です。
飲み物だけでは不十分?総合的な熱中症対策
犬の熱中症対策は、水分補給だけで完結するものではありません。適切な飲み物を用意していても、室温管理や生活環境が整っていなければ体温上昇を十分に防ぐことは難しくなります。飲み物による水分補給を基本としながら、環境と行動の両面から対策を行うことが重要です。
室温と湿度を安定させる
犬は気温だけでなく湿度の影響も受けます。湿度が高いと呼吸による放熱効率が下がり、体に熱がこもりやすくなります。室温は一般的に25〜26℃程度を目安にし、湿度は60%を超えないよう管理することが望ましいとされています。
留守番中は室温が急上昇することがあるため、エアコンを安定稼働させます。空気が滞らないようサーキュレーターで循環させることも有効です。犬の熱中症対策では、飲み物と同時に室内環境の安定が基本になります。

散歩時間と車内環境に注意する
夏場のアスファルトは高温になりやすく、地面付近の温度は気温以上になることがあります。犬は地面に近い位置で呼吸するため、影響を受けやすい特徴があります。早朝や日没後など、気温が比較的低い時間帯を選ぶことが重要です。
また、短時間でも車内に犬を残すことは危険です。車内温度は急速に上昇するため、水を用意していても安全とはいえません。犬の熱中症対策では、環境を高温にしないことが前提になります。

体調変化があれば早めに受診する
呼吸が荒い、よだれが増える、ふらつきがある、横になったまま起き上がれないといった症状は、体温が上昇しているサインである可能性があります。水を飲ませて様子を見るのではなく、改善が見られない場合は速やかに動物病院へ相談します。
犬の熱中症対策は、予防と早期対応の両立が重要です。飲み物による水分補給を基本としながら、環境管理と体調観察をあわせて行うことで、リスクを大きく下げることができます。
まとめ|犬の熱中症対策は「飲み物+環境管理」が基本
犬の熱中症対策では、まず体の仕組みを理解することが重要です。犬は全身で汗をかけないため、体内に熱がこもりやすく、水分が不足すると体温の上昇を抑えにくくなります。そのため、日常的な水分補給が予防の基本となります。
飲み物として最も安全なのは新鮮な水です。犬用に調整された電解質飲料は補助的に使用されることがありますが、人用スポーツドリンクやジュース、牛乳、お茶などは成分の面から適していません。犬の熱中症対策では、体に余分な負担をかけない飲み物を選ぶことが大切です。
また、水分補給だけでなく、室温と湿度の管理、散歩時間の見直し、車内放置の回避など、生活環境を整えることが欠かせません。呼吸が荒い、ぐったりしているなどの変化が見られた場合は、飲み物で様子を見るのではなく、速やかに動物病院へ相談します。
犬の熱中症対策は「飲み物を用意すること」で終わりではありません。正しい水分補給と環境管理を組み合わせることで、リスクを大きく下げることができます。日頃から備えを行い、愛犬の体調変化に早く気づける環境を整えておくことが大切です。
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▼参考文献
東福岡たぬま動物病院.“犬の汗について”.https://www.tanuma-vet.com/column/dog-sweat/(参照 2026-02-24)
いぬのきもち WEB MAGAZINE.“犬の熱中症対策や脱水時の水分補給に役立つ「犬用の経口補水液」 とは”.https://dog.benesse.ne.jp/withdog/content/?id=163443(参照 2026-02-24)
一般社団法人 盲導犬総合支援センター.“犬の熱中症対策、水分補給と屋内運動を!”.https://goguidedogs.jp/column/heat_stroke-_and_hydration(参照 2026-02-24)
姉ヶ崎どうぶつ病院.“夏の危険症状「犬の水中毒」を防ぐ!|安全な水遊びと正しい水分補給法”.https://anegasaki-ah.jp/column/olgDDh4N5gxY/(参照 2026-02-24)
PetSmilenews for ワンちゃん.“犬にスポーツドリンクを与えても大丈夫?熱中症の応急処置として有効”.https://psnews.jp/dog/p/55956/(参照 2026-02-24)

