「猫にベッドは必要ですか?」
せっかく買ったのにまったく使ってくれず、「うちの猫にはいらないのかも」と感じたことがあるかたもいるでしょう。猫は自由気ままに見えて、実は眠る場所を選ぶ基準がとても繊細です。においや温度、光の加減など、少しの違いでお気に入りの場所が変わることもあります。
猫によっては専用ベッドを使わず、段ボールやカーペットの上で心地よく過ごす場合もあります。しかし、それは「ベッドがいらない」という意味ではなく、環境が合っていないだけかもしれません。この記事では、猫がベッドを使わない理由と、快適に眠れる環境づくりのコツを解説します。
愛猫のリラックスできる寝場所を見直したい方は、ぜひ参考にしてください。
※2025年10月29日時点の情報です。
猫にベッドはいらない?結論と猫の習性から考える
猫がベッドを使わない理由を「気まぐれ」と感じる方も多いかもしれません。けれど、実際には猫の本能や環境へのこだわりが関係していることがあります。
猫は一日の半分以上を眠って過ごす動物であり、その寝場所には「安心できる」「静か」「自分の匂いがある」といった条件を求めます。ここでは、ベッドが本当にいらないのかを、猫の習性から整理していきましょう。
安心できる場所こそが猫にとってのベッド
猫は身の安全を第一に考える動物です。外敵の少ない静かな場所を選んで眠るのは、野生時代の本能の名残といえます。そのため、飼い主の匂いがするクッションや毛布、押し入れの中などを好む猫も多く、専用ベッドを使わなくても自分にとって落ち着く場所を見つけます。つまり、猫にとっての「ベッド」は、形ではなく「安心感」で決まるのです。
ベッドを使わないのは「嫌いだから」ではない
「買ったのに全く使ってくれない」と感じる場合でも、それはベッドが嫌いなわけではありません。素材の感触やにおい、置き場所などが合わないだけで、条件を変えれば使うようになることもあります。特に新品のベッドは人工的な匂いが強く、猫が警戒することがあります。洗ったり、飼い主の匂いを少しつけたりするだけでも安心して近づくようになるケースがあります。
猫に必要なのは「ベッド」よりも「環境」
猫は「ふかふかの寝具」よりも「静かで落ち着ける環境」を求めます。部屋の明るさや温度、音の有無などが影響するため、どんなベッドでも環境が合わなければ使いません。寝床の数を増やしたり、季節ごとに寝場所を変えられるようにしたりすると、猫が自分で心地よい場所を選べます。大切なのは、ベッドの有無ではなく、猫が安心して眠れる環境づくりです。
猫がベッドを使わない主な理由5つ
猫がベッドを使わないのには、きちんとした理由があります。新しいベッドを買っても入らない、何度置き場所を変えても寝てくれない。そんなときは、猫の感覚や習性を踏まえて原因を見直すことが大切です。ここでは、よく見られる5つの理由を紹介します。
においや素材が気に入らない
猫は嗅覚がとても鋭く、わずかなにおいの違いにも敏感です。新品のベッドには製造時の化学的なにおいが残っている場合があり、それを嫌がって近づかないことがあります。また、人工素材の肌触りや静電気を苦手とする猫もいます。使用前に一度洗ったり、飼い主の衣類やタオルを敷いてにおいをなじませたりすると安心して使うようになることがあります。
落ち着かない場所に置かれている
猫は「安全に眠れる場所」を最優先で選びます。通り道やドアの近く、テレビの音が響くリビングなどは落ち着かず、ベッドを避けてしまうことがあります。静かで人の出入りが少ない場所や、少し高い位置など、猫が安心できる場所に置くことがポイントです。特に多頭飼いの場合は、他の猫から距離をとれる場所に設置するとリラックスしやすくなります。
季節や温度が合っていない
猫は季節によって快適に感じる場所が変わります。夏は風通しの良い床やひんやりした場所、冬は毛布やカーペットの上などを好む傾向があります。暖かすぎたり、逆に冷えすぎたりするベッドは避けられることも多いため、季節に合わせて素材や位置を変える工夫が必要です。通気性や保温性を調整できるベッドを選ぶと、一年を通して快適に使えます。
他のにおいが気になっている
ペットの多頭飼い家庭では、他の猫や犬のにおいが残っていることで警戒する場合があります。特に新入り猫や神経質な性格の猫は、他の個体の匂いがついた寝具を避ける傾向があります。洗濯や天日干しでリセットするほか、猫専用の無香料洗剤を使うとにおいを抑えながら清潔に保てます。
形や大きさが合っていない
猫の体格や好みはそれぞれ異なります。深すぎる形や囲いのあるベッドが苦手な猫もいれば、包まれるような形を好む猫もいます。身体に合わないサイズや、動きにくい構造のベッドは避けられてしまうため、猫の体格や寝姿勢に合わせた形を選びましょう。実際に寝ている姿を観察し、「丸まって寝る」「伸びて寝る」などの癖に合わせるのがポイントです。
ベッドがいらない猫でも快適に過ごせる環境づくり
猫によっては、専用のベッドを使わなくても自分で心地よい寝場所を見つけて過ごすことがあります。段ボールの中やソファの端、カーテンの影など、思いもよらないところで眠っている姿を見かけたことがある方も多いでしょう。そんな「ベッドいらず」の猫でも快適に過ごせるよう、環境づくりのポイントを押さえておきましょう。
猫の好きな場所を観察して活かす
猫は自分にとって安心できる場所を本能的に選びます。飼い主のそばや、外の音が聞こえる窓際など、猫がよく眠る場所を観察することで、その子にとって快適な条件が見えてきます。お気に入りの場所にタオルやブランケットを敷くだけでも、十分にくつろげる寝床になります。無理にベッドを使わせようとせず、猫の選んだ場所を尊重して整えてあげましょう。
温度と湿度を心地よく保つ
猫が安心して眠るためには、室温や湿度も重要です。夏は風通しを良くして涼しく、冬は毛布やカーペットなどで暖かく保つ工夫をしましょう。エアコンやヒーターの風が直接当たる位置は避け、猫が自分で快適な場所を選べるようにするのがおすすめです。温度の差が大きいと体調を崩すこともあるため、一定の環境を保つことが大切です。
清潔で静かな空間を整える
寝る場所の衛生環境も、猫の快適さに直結します。ホコリや抜け毛をこまめに取り除き、定期的に掃除をすることで清潔を保ちましょう。また、騒音や人の出入りが多い場所では安心して眠れません。静かで落ち着いた空間を確保してあげると、猫は自然とその場所を「自分のベッド」として認識します。猫が穏やかに過ごせるよう、環境全体を見直して整えることが理想です。
猫がベッドを使うようになる工夫と慣らし方
猫がベッドを使ってくれないときは、「気まぐれ」や「性格」のせいと決めつけず、少しずつ慣らしていく工夫を取り入れるのがポイントです。猫の警戒心をやわらげ、自然に「ここで眠りたい」と思える環境を整えることで、ベッドを使うようになるケースも多く見られます。
匂いをなじませて安心感を与える
猫は嗅覚が鋭く、においから安心感を得る動物です。新品のベッドに自分や飼い主の匂いがついていないと、警戒して近づかないことがあります。まずは飼い主が使っていたタオルや毛布を中に敷いて、匂いをなじませてあげましょう。自分や家族の匂いが混ざることで「安全な場所」と認識し、自然とベッドを受け入れやすくなります。
好みの素材や形を試してみる
猫によって、包まれるような形を好む子や、広く平らなタイプを好む子などさまざまです。ふかふかの素材が苦手な猫もいるため、ブランケットを薄く敷いて様子を見たり、カゴや箱型など形の違うものをいくつか試してみましょう。特に季節によっても好みが変わるため、通気性の良い夏用・保温性の高い冬用などを使い分けると、快適に過ごせます。
置き場所を工夫して「安心感」を作る
ベッドの置き場所も、猫が使うかどうかを左右する大切な要素です。人の出入りが少なく静かな場所や、高い位置にある棚の上など、猫が落ち着ける場所に置くのがおすすめです。最初は猫が普段よく寝ている場所に置いてみると、自然に興味を示すことがあります。無理に乗せようとせず、時間をかけて慣らしていくことで、安心して使うようになります。
褒めて安心させるコミュニケーションも大切
猫がベッドに入ったときは、穏やかな声で褒めたり、やさしく撫でて安心感を与えましょう。強制的に閉じ込めたり、驚かせたりすると逆効果になるため注意が必要です。猫が「ここは安全」と感じることが、ベッドを継続して使うための一番の近道です。信頼関係を大切にしながら、焦らず少しずつ慣らしていきましょう。
猫に合った寝床を選ぶポイントと注意点
猫が安心して眠れる環境をつくるためには、どんな寝床を選ぶかも大切です。素材や形、置き場所などを猫の性格や体格に合わせることで、より快適な空間になります。ここでは、猫に合った寝床を選ぶときのポイントと注意すべき点を紹介します。
年齢や体格に合ったサイズを選ぶ
寝床が大きすぎると落ち着かず、小さすぎると窮屈に感じてしまいます。丸まって寝る猫にはドーム型や囲いのあるタイプ、伸びて寝る猫には広めのマット型が適しています。また、子猫や老猫は段差の少ない形状を選ぶと出入りがしやすく、安心して使えます。猫の体格や年齢に合わせて、ちょうどよいサイズを選ぶことが大切です。
季節ごとに寝床を見直す
猫は季節によって好む寝心地が変わります。夏は通気性がよく、熱がこもらないメッシュ素材のベッド、冬は保温性の高いボアやフリース素材がおすすめです。春や秋など気温の変化が大きい時期は、毛布を重ねたり外したりして調整すると快適に過ごせます。季節の変化に合わせて寝床を見直すことで、一年を通して心地よい眠りをサポートできます。
洗いやすさと清潔さを重視する
寝床は定期的に洗って清潔を保つことが重要です。抜け毛や皮脂がたまりやすく、放っておくとダニやにおいの原因になります。カバーを外して洗えるタイプや、通気性がよい構造のものを選ぶと衛生的です。また、洗剤は無香料のものを使うと、猫が嫌がらずに安心して使えます。清潔さを保つことが、猫の健康維持にもつながります。
サイズ:7 x 7 x 23 cm
安全面にも配慮する
柔らかさやデザインだけでなく、安全性にも注意が必要です。小さな部品や装飾がついていると、誤って飲み込む危険があります。また、滑り止めのないベッドは動きやすく、転倒やケガの原因になることもあります。安定感のある作りで、猫が自由に動ける安全な構造を選ぶようにしましょう。
まとめ|猫にとって快適な寝場所とは?「いらない」よりも「安心できる環境づくり」が大切
猫にとって、快適に眠れるかどうかはベッドの有無よりも「環境」によって大きく左右されます。専用ベッドを使わない猫も多くいますが、それは嫌っているのではなく、素材や置き場所、においなどが合っていないだけの場合もあります。猫は本能的に安全で落ち着ける場所を選ぶため、自分にとって心地よいと感じる寝床を自然に見つけ出します。
大切なのは、猫の気持ちを尊重して環境を整えることです。日当たりや風通し、静かさといった条件を満たし、清潔な寝床をいくつか用意しておくと、猫はその時々の気分や気温に合わせて使い分けるようになります。ふかふかのベッドだけでなく、段ボールや毛布など身近なものでも、猫にとっては十分な安らぎの場になります。
また、ベッドを使わせたい場合は、匂いをなじませたり、置き場所を見直したりして少しずつ慣らしていくことが大切です。猫の性格や好みに合わせて工夫を重ねることで、自然とベッドを受け入れるようになります。
猫にとっての「いらない」は単なる拒否ではなく、「もっと安心できる場所を探している」サインでもあります。飼い主が環境づくりを見直すことで、猫はよりリラックスして過ごせるようになるでしょう。
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参考文献
ねこちゃんホンポ.“猫は『ずっと寝てばかり』な理由5選 どうしてあんなに寝られるの?寝すぎたりしないの?”.https://nekochan.jp/column/article/38883,(参照 2025-10-29)
稲川動物病院.“犬や猫の適切な睡眠は?寝すぎは病気かも?”.https://inagawa-ah.com/allblog/blog/798/,(参照 2025-10-29)
ねこのきもち WEB MAGAZINE.“一緒に寝る飼い主さんは3割超!? 愛猫はどこで寝る? 獣医師が理由を解説|飼い主調査”.https://cat.benesse.ne.jp/withcat/content/?id=164573(参照 2025-10-29)
ねこちゃんホンポ.“猫は『寝る位置』で信頼度が違う!4つのパターン別にキモチを解説 最高に心許されている場合はどこ?”.https://nekochan.jp/column/article/34201,(参照 2025-10-29)

